ED治療とは|まず知っておきたい基礎知識
ED(Erectile Dysfunction/勃起不全)は、性行為に十分な勃起が得られない、または維持できない状態を指します。加齢による血管機能の低下、生活習慣病(糖尿病・高血圧・動脈硬化など)、ストレスや不安といった心理的要因など、原因は人によって異なります。日本国内では800万人〜1,400万人程度がEDに悩んでいるとの推計もあり、決して珍しい症状ではありません。
ED治療は大きく分けて「錠剤治療(PDE5阻害薬)」と「衝撃波治療(体外衝撃波治療・レノーヴァ等)」の2つのアプローチがあります。この記事では、この2つの治療法の仕組みと有効性を詳しく比較したうえで、衝撃波治療「レノーヴァ(RENOVA)」を取り扱うクリニックを紹介します。
錠剤治療(PDE5阻害薬)の仕組みと有効性
バイアグラ(シルデナフィル)・レビトラ(バルデナフィル)・シアリス(タダラフィル)といった治療薬は、いずれも「PDE5阻害薬」というグループに属します。性的刺激を受けた際に陰茎の血管を拡張させる物質(cGMP)の分解を抑えることで、勃起をサポートする仕組みです。
日本性機能学会・日本泌尿器科学会のED診療ガイドラインでは、PDE5阻害薬はED治療の第一選択として位置づけられており、長年の使用実績と豊富な臨床データに裏付けられた治療法です。効果発現までの時間や持続時間は薬剤ごとに異なり(バイアグラは比較的即効性、シアリスは持続時間が長いなど)、性行為のタイミングに合わせて服用する「頓服薬」としての使い方が基本になります。
錠剤治療のポイント
- 効果は服用後の一定時間のみに限られる「対症療法」
- 効果発現までの時間・持続時間は薬剤により異なる
- 心疾患で硝酸薬を服用中の方などは併用できない場合がある
- 比較的安価で、豊富な臨床データに基づく実績がある
衝撃波治療「レノーヴァ(RENOVA)」の仕組みと有効性を深掘り
レノーヴァ(RENOVA)は、イスラエルのダイレックス社が開発した低出力体外衝撃波治療(LI-ESWT)機器です。もともと尿路結石の破砕に使われてきた衝撃波技術を応用し、陰茎の血管や海綿体に低強度の衝撃波を照射することで、血管新生を促す仕組みです。
衝撃波の刺激により、血管内皮細胞からVEGF(血管内皮増殖因子)というたんぱく質が分泌され、これが新しい毛細血管の形成(血管新生)を促すとされています。血流が改善されることで、薬に頼らずとも自然な勃起機能の回復が期待できる、という理屈です。錠剤治療が「その場しのぎの対症療法」であるのに対し、衝撃波治療は「血管そのものの機能回復」を目指す点が大きな違いです。
衝撃波治療の位置づけ(ガイドライン上の扱い)
欧州泌尿器科学会(EAU)のガイドラインでは、低出力体外衝撃波治療はPDE5阻害薬が無効・効果不十分な場合の治療選択肢として位置づけられています。日本性機能学会/日本泌尿器科学会のED診療ガイドライン第3版でも、「重症度が中等度までの血管性EDで65歳未満の若い層に有効性が期待される」「PDE5阻害薬無効症例に対しても血流動態が改善すれば、その後の薬剤への反応性が高まる可能性がある」といった趣旨の記載があるとされます。つまり、錠剤治療が第一選択であることに変わりはなく、衝撃波治療は錠剤の効果が乏しい場合の追加的な選択肢という位置づけです。
有効性についての実際のデータと限界
各クリニックの情報では、レノーヴァ等の衝撃波治療によって60〜80%程度の患者が改善を実感したという報告や、治療後にED治療薬を使わずに勃起できるようになったとするデータが紹介されています。ただし、これらは各クリニック・メーカーが引用する数値であり、PDE5阻害薬ほど大規模かつ長期的な臨床データが蓄積されているわけではない点には留意が必要です。実際、慎重な立場のクリニックでは「現時点では有効と言い切れるほどの強い裏付けはない」「改善の程度も中程度にとどまる場合がある」という見解も示されています。効果の持続期間についても、2年程度とする情報がある一方、半年〜1年程度とする情報もあり、機器や照射条件、施設によって成績にばらつきがあるとされています。
また、海綿体の線維化が進んでいる場合や重度の動脈硬化がある場合は、衝撃波治療の反応が乏しくなる傾向があるとされ、すべてのEDに万能というわけではありません。血管性EDで、かつ軽度〜中等度の症状に比較的向いている治療法と理解しておくとよいでしょう。
錠剤治療と衝撃波治療の比較表
| 項目 | 錠剤治療(PDE5阻害薬) | 衝撃波治療(レノーヴァ等) |
| 治療の目的 | 服用時の一時的な勃起サポート(対症療法) | 血管新生による根本的な血流改善を目指す |
| 即効性 | あり(服用後30分〜1時間程度) | なし(複数回の照射を経て徐々に変化) |
| ガイドライン上の位置づけ | 第一選択治療 | PDE5阻害薬無効例等への追加的選択肢 |
| 国内承認状況 | 承認された医薬品 | 医療機器として未承認(自由診療・医師裁量) |
| 費用の目安 | 比較的安価(1錠数百円〜) | 高額(1クール数十万円規模) |
| 持病がある場合 | 硝酸薬服用中などは服用不可 | 薬が服用できない方の選択肢になり得る |
| 併用 | - | 錠剤治療との併用も可能とされる |
どちらか一方を選ぶというより、「まずは錠剤治療を試し、効果が乏しい場合や薬が使えない場合に衝撃波治療を検討する」という段階的なアプローチが、ガイドラインの考え方にも沿った現実的な選択といえるでしょう。費用面の負担が大きい治療のため、カウンセリングで十分に説明を受けたうえで判断することが重要です。
錠剤治療が向いている人
- 性行為の前に薬を服用する形に抵抗がない方
- まずは費用を抑えて治療を始めたい方
- すぐに効果を実感したい方
- 心疾患などで硝酸薬を服用していない方
衝撃波治療が向いている人・向いていない人
各クリニックの情報を総合すると、衝撃波治療は「中等度までの血管性ED」「65歳未満の比較的若い層」に有効性が期待されやすいとされています。一方で、以下のような場合は効果が限定的になりやすいとされ、必ずしも万能な治療ではありません。
| 向いている可能性が高い方 | 効果が限定的になりやすい方 |
| 血管性ED(動脈硬化など血流低下が原因) | 心因性ED(身体的な異常がない場合) |
| 65歳未満の比較的若い層 | 海綿体の線維化が進んでいる方 |
| 軽度〜中等度のED | 重度の動脈硬化がある方 |
| 薬の服用ができない・したくない方 | 神経性ED(脳や脊髄の損傷等が原因) |
また、抗凝固薬を使用中で数値が高い方や、陰茎の解剖学的な奇形がある方など、衝撃波治療が禁忌となるケースもあります。国際衝撃波学会(ISMST)の適応症の考え方に沿って、事前の問診でこうした条件に当てはまらないかを確認したうえで治療が行われるのが一般的です。自分がどちらのタイプに近いかは自己判断せず、必ずカウンセリングで医師に確認しましょう。